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いつも暮らしている
見慣れた場所に家を建てる

工務店:大市住宅産業

兵庫県西脇市で暮らすNさんが建てた風土と暮らす木の家は、南西側に田んぼが広がるロケーションを活かして太陽の光と風を取り入れた家。新築して1年半ほど経っての感想や、工務店で家を建てようと思った経緯などを聞いてきましたので、山間部に家を立てる予定の新婚さんや小さなお子さんのいるみなさんは、ぜひ参考してみてください。

新築されてから1年半ほど住まわれてみて、住み心地はいかがですか?

家を建てるときに、「エアコンを使わずに暮らせたらいいな」という淡い期待を持っていたのですが、実際にほぼエアコンを使わずに暮らせているのはうれしいですね。年間を通して、真夏の1週間くらいしか使用してないと思います。それも日中だけの話で、寝るときにはエアコンを止めていました。風が心地よくて、夏でも窓を開けっぱなしにして過ごしています。

冬はコタツだけで過ごしましたね。山間部で育ったので、寒さに強いのかもしれませんけど(笑)日の光がリビングの大きな窓から入ってくるので、それを家がため込んでくれていたのだと思います。前の家は築何十年も経ったような家で、土壁だったし断熱材ももちろん入っていなかったので、今に比べるとだいぶ底冷えしていたようです。

この場所に家を建てようと思ったのはなぜですか?

この家を建てるまではここからすぐの実家で暮らしていたのですが、子供が大きくなってきて家の新築を考え始めたんです。近くで暮らす方がいいだろうということもあり、父が所有する田んぼだったこの土地を造成して家を建てることになりました。父母が近くに住んでいるので、子供が勝手に遊びに行ったり、お風呂に入れてもらったりと何かと助かっています。

新築を検討される際に、工務店で家を建てようと思ったきっかけは何でしたか?

ネット検索しているうちに里山住宅博を知り、そこで大前さん(大市住宅産業)と出会いました。実は別の住宅メーカーさんにも家を提案していただいていたのですが、「この土地のロケーションを活かして!」という先方の少し強すぎる想いにちょっと温度差を感じてしまって。すごいなと思ったんですけど、私たちにとってはいつも暮らしている場所なので(苦笑)その点、大前さんは自然体で話を聞いてくださって、感覚や温度感が「合うな〜」と思って依頼しました。

家づくりを依頼される際に、どのような要望を伝えましたか?

リビングに一段下げた畳スペースが欲しい、子供の学習スペースが欲しい、外観は和風がいい。大きくはこの3点だったと思います。年をとったら二階に上がらなくなるかな?と思って平家にしたいという気持ちでしたが、それだととても長い家になることが分かったので、平家のテイストを残しながら一部を二階建てにしてもらいました。

リビングの畳スペースを一段下げてもらったのは、自分たちの暮らし方にソファは合わないかなと感じていたからなんです。床でくつろぐのが好きなので、ソファを置いてもたぶん荷物置きになってしまうと思ったので(笑) 子供の学習スペースは、子供が部屋にずっとこもってしまうのもどうかな?という思いがあり子供部屋を作りたくなかったので、1階と2階のオープンスペースに造ってもらいました。

外観は、慣れ親しんでいてこの辺りの雰囲気に馴染む和風を希望しました。大前さんからは、「漆喰を塗って、瓦屋根にするとコストがかかる」と言われたのですが、そこはこだわりということで(笑) あと、外壁材に選んでいただいた杉の焼き板も気に入っています。ここより過酷な環境の日本海側で古くから使われている素材ということや、焼くことが塗装の変わりになっていること、どこか傷んだ場合はその箇所だけを取り換えられるなど、いろんなメリットがあることを、大前さんが教えてくれました。

実際に暮らしてみて、気に入っている場所はどこですか?

玄関から入ってすぐの南側の和室は、便利でとても重宝しています。お客さんをお通しする場所とプライベートの場所を分けたいなという思いがあって、それを大前さんに伝えると提案してくれたんです。お客さんが来た時に、リビングを通らずに部屋にもお手洗いにも案内できるので、とても助かっています。それに、コロナ禍の昨今では安心ですよね。

あとは、南西側にあるコの字型のデッキ。隣は父の田んぼなので、ひと目を気にせずBBQをしたり、春先には子どもと一緒に朝ごはんを食べたりして家族でくつろいでいます。もともとは一面平らのウッドデッキだったのを、縁側みたいに腰掛けられるようにコの字型にしてもらったのも良かったですね。そうそう、リビングからデッキで遊ぶ子どもの様子を見られる大きな窓もお気に入りです。景色もいいですし、太陽の光が室内にたくさん入ってくるので冬場は室内をあたためるのに一役かってくれています。デッキの前室にもたくさん太陽が差し込むので、洗濯物を干すのにすごく便利です。夏は西日がそこまで入りすぎないように、軒を長くしてくださったそうです。

床の杉板も気に入っています。最初は、物を落としてちょっと凹ませてしまう度に、蒸しタオルとアイロンで手入れしていました(笑) でもある時、旅行先でいい感じの板張りの床を見かけて、多少の傷や凹みも味わいなんだなと気づかされて、いまは定期的にワックスを塗る程度に手入れしています。杉の床板は水分を吸ってくれるので湿度調整をしてくれるそうなので、年間を通して快適な室内を保つのに役立ってくれていると思うと、床板にも愛着が湧いてきますよね。

冬の冷え込みの厳しい地域にも関わらず、暖房を使わずに済んだのには驚きました。貴重なお話、ありがとうございました。

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